時季カウンセリングオフィス
- toki counseling office -
カウンセリングを受けるとどうなるの?
対話をすることで「からまった悩みの糸がほどけたり」「隠れていた自分の気持ちに気づいたり」と言われても、抽象的すぎて分かりません。そこで、少し長くなりますが、いくつかカウンセリングを受けた人を参考にした物語をご紹介して、イメージして頂こうと思います。
◉ミドリさん(仮名)38歳
夫と中学生の娘、小学生の息子と4人ぐらし。2年前までは自分でもごく普通の主婦だと思って過ごしてきたが、少しずつ家事がおっくうになり、気がついたら家はゴミ屋敷のよう、寝室とリビングしか居場所がなくなっていた。夫や子どもたちからも文句を言われるが、どうしていいかわからず、ある日偶然知ったカウンセリングオフィスに電話をした。
初めてのカウンセリングに行って「ご相談はどういったことですか?」と聞かれ、「家事をする気になれず、家がゴミ屋敷のようになってしまった」と話した。生活のことや家族のことを聞かれて答えるうちに、気がついたら夫への愚痴になっていた。カウンセラーは「うん、うん」「そうですか」と相づちを打って聞いてくれていたが、特に「こうしたら良くなる」というアドバイスはなく、初回は終了。気持ちは少し軽くなったが、その後の予定もはっきりしていなかったので、次回の予約は取らずに帰宅した。
数日後の休日、夫に子供の相手をしてほしかったが、夫は買物があるというので、仕方なく息子と留守番をしていた。夕食の材料の買い忘れがあったので夫に買ってきてもらおうと電話をすると、何やら賑やかなところにいる様子。帰宅した夫を問い詰めると、「ゲームセンターに行っていた」と白状した。それがきっかけで大げんかになり、翌日には気分が落ち込んで何もする気になれず、どうしようもなくなってオフィスに電話してカウンセリングの予約を入れた。
2回目のカウンセリングは、夫との大げんかを報告した。聞いてもらって大変だった気持ちが落ち着いてくると、夫に嘘をつかれたのがどうしてそんなにも嫌だったのか、分かってきたような気がした。夫は昔からそうだった。同居していた義父母とのいさかいがあっても、「我関せず」ですぐに逃げてしまう。「悔しかった、悲しかった」という当時の気持ちがよみがえってきて涙が止まらなかった。ひとしきり泣くと気持ちが落ち着いた。
それからは定期的にカウンセリングに通った。夫への不満、義父母との軋轢、生活の中で起こってくる娘や息子の学校や進学の問題。カウンセラーはうなずき、時折、質問や感想を挟みながら聞いてくれ、こころに思い浮かぶままにいろいろなことを話した。そして、娘はしっかり者だから安心して見ていられるけど、いじめられっ子な息子がこのままで大丈夫なのだろうかと心配する気持ちと、かわいくてかわいくて仕方ない気持ちを話して「そうですね」と受け止められたとき、何だかこころが落ち着いた気がした。夫は頼りにならないし、息子がしっかりと成長するためには自分がしっかりしないといけない。失敗は許されない。それは、一人で背負っていた大きな荷物だった。
いろんな話をした。カウンセラーは聞いてうなずいてくれてた。途中からは自分でも「よくやってるな」と思えた。完璧な人間なんていない。多少間違ってしまうことはあっても、自分はいつでも「これでいいのか」と向き合って考えながら慎重に子育てをしている。それでいいのではないか。そんな風に思えるようになった。
そうすると、家事も完璧でなくていいから、無理せずに今日できることだけ少しずつやろうと思えてきた。少しずつ、家の中がきれいになった。
2週に1回~月に1回、約1年、カウンセリングに通った。まだ少し不安なところはあるが、行き詰まってしまったときは、またカウンセリングの予約を入れればいいと思い、終了となった。
◉シゲオさん(仮名)70代
妻と二人で洋品店を営みながら3人の子供を育て上げた。子供たちも自立して家庭を持ち、夫婦ふたりで昔ながらのお得意さま相手に、のんびりと店を続ける穏やかな生活。健康のための散歩を2年ほど続けている。ある日、散歩中に、突然、不安な気持ちになった。何か気がかりなことがあったわけではないが、どうしようもない不安感で、「このまま死んでしまうのではないか」というくらいのとてつもない不安だった。その時の不安は数分で収まったが、「またあの不安感に襲われるのではないか」と心配になってしまい、散歩にも商品の買い付けにも出かけられなくなってしまった。
自分でも、これはおかしいと思いインターネットで調べて、なんとか外出して精神科のクリニックに行くと「軽い抗不安薬」を処方された。確かに、不安感が来そうなときに薬を飲むと落ち着いたが、いつ不安感が襲ってくるかと心配は消えず、出かける勇気も持てなかった。クリニックの先生からカウンセリングを勧められ、通ってみることにした。
初回は、散歩中に起こった「不安感」を話し、今の生活のことや育ってきた環境について聞かれた。2回目は、不安が起こりそうになったので薬を飲んで落ち着いたことや、ニュースを見て気になっていた政治の話をした。全く、官僚に動かされるばかりで政治家は堕落していることが腹立たしい。3回目以降も、政治や世界情勢の話をした。
カウンセリングに通っていると知人に言ったら、「1時間も何話してるの?よく話すことがあるね」と言われたが、自分にしてみれば1時間なんてあっという間で足りないくらいだ。妻に話しても、つまらなそうにして、すぐにどこかへ行ってしまう。妻は「ケセラセラ」で何ごとも気に病まないおおらかな性格。神経質な自分とは正反対で、二人して気に病んでいたらここまで無事にやってこられなかっただろうから感謝している。感謝しているが、少し寂しい。そんな話をカウンセラーにすると、自分の人生は寂しいものだったのかと不安になった。
16歳のとき、終戦を迎えた。お国のために自分のこの命は捨てるものと多感な思春期を過ごしてきた。それが、戦争が終わって「命は大事なもの」「これからは民主主義の時代だ」と、ある日突然、物事の価値観が逆転した。
ないものと思って生きてきた自分の人生。大切に生きろと言われても、どうしたらいいか分からなかった。だから、まっすぐ素直な気持ちで前向きに生きることなんて出来なかった。細かいことにこだわり、文句を言い、希望とか夢とか言うことすら許せなかった。自分の人生は「怒り」に彩られていたなぁと思ったら泣けてきた。
ある日、いつものようにカウンセラーに「前回から今日まではどんな生活でしたか?」と聞かれ、「孫が大学受験に受かったんです」と、一番嬉しかったことを報告した。カウンセラーが嬉しそうにほほえんだ顔を見て、自分も同じように嬉しい笑顔をしていることに気がついた。自分の人生にも嬉しいことはあったじゃないか。寂しい人生ではなかったじゃないか。孫の成長は嬉しい。大人になっていく孫の未来を楽しみに自分は生きている。孫は「希望」だ。そんな風に思った。
ひと月~ふた月に1回のペースで2年、カウンセリングに通って、徐々に外出も怖くなくなり、いつの間にか「不安感」の話をすることはなくなっていた。もうカウンセリングがなくても大丈夫だと思うが、半年に1回ぐらい、もう少し続けていこうと思う。
カウンセリングについて、少しイメージがつかめたでしょうか?よくあるご質問について次ページの「Q&A」でまとめましたので、ご覧ください。カウンセリングをご希望の方は、「初回カウンセリング」をお読みになり、問い合わせフォームかお電話でお申し込みください。