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芳野

直感を磨く


前回の「軌道修正」を読んで、思い出したことがありました。

20余年前、卒業して臨床心理士として山梨の病院に就職しました。同時に一人暮らしを始めました。緊張しながらも、実践と勉強を積んで、様々な仕事に取り組みました。

3年くらい経った頃、ふと「帰ろうかな」と思い、退職して地元に帰ってそこで働きたいと当時の上司やお世話になっていたドクターなどに話したのです。

みんな、申し合わせたように「反対」でした。

上司は「5年はここで続けなさい」と言いました。

周囲の助言や、就職先が上手く見つからなかったこともあり、そのときはそのままその話はお流れになりました。

そしてまた日々の仕事に励んで数年が経ちました。経験を積んで、仕事の質も上がったし、出来ることもたくさん増えました。

8年経った早春の頃、新入職員が挨拶に回ってきました。その姿を見て「私もフレッシュマンになりたい」と、またまた、ふと、でも強烈に思ったのです。

そこで、またまた上司やドクター達に相談しました。

今度は、みんな口を揃えて「賛成」でした。

そして、ドクターの一人が「東京の先輩が新しく病院を開くから、そこで働けるか聞いてあげるよ」とまで言ってくれました。

当時、臨床心理士の常勤での就職先はかなり少なく、こんなラッキーなことはそうそうあるものではなかったのです。

話はとんとん拍子に進み、私は地元に帰って仕事を続けることが出来ました。

後になって振り返ってみると、3年目の「帰りたい」は仕事や慣れない生活から「逃げたい」思いが形を都合良く変えて出てきていたのだな、周囲の人たちにはそれがしっかり見えていたのだな、と思いました。

8年目の「帰りたい」は、歪められていたりすり替えられたりしないで、本当に純粋な気持ちだったのでしょう。それが周囲にも分かっていて、協力し応援してくれたのだと思います。

今は、あのとき、新人から成長していく私をしっかり見守ってくれていた人たちに感謝しかありません。

そして、この感謝の気持ちは、当人たちに返すのではなく、今度は見守る側になって若い人たちに返していくことが、本当の恩返しなのだと思っています。

久しぶりに、懐かしい人たちを思い出しました。ほっこりこころが温かくなりました。

ありがとうございます。

芳野が担当しました。

次回は中村です。

お楽しみに。


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